今、このブログを読んでいるWEB担当者の方々は、このページがどのように構成されているのかを、おおむね予測できているはずです。それは、初めてこのサイトに訪れたユーザーでも同じで、誰もが、「こういった記事投稿型の(ブログ)サイトは、こういう具合の作りになっている」というメンタルモデルを持っているからです。
今回は、WEBサイトのデザインを考えるうえで、大変重要なメンタルモデルについてご紹介いたします。
メンタルモデルとは
まず初めに、メンタルモデルについて簡単に説明いたします。
このモデルは、文化や生活環境、これまでの経験に基づいて作られていくもので、一人ひとり異なります。それでも日本人であれば、(横書きなら)左から右に文章を読み進めるという、メンタルモデルを持っていますし、WEBサイトのテキストの下に下線が引いてあれば、クリックして別ページに移動できるというメンタルモデルを持っています。同じような経験や文化、生活環境の中にいれば、似たようなメンタルモデルが形成されるということです。
海外ユーザー向けのWEBサイトを作るときには、このメンタルモデルを特に意識するべきです。対象の国で生活をしていたネイティブな人材をプロジェクトに招き入れることは、そのサイトの成功に深く結びつきます。
WEBデザインにおけるメンタルモデル
皆さんは、パソコンやスマホの画面で、人がまずどこに目を向けるかご存知ですか? もちろん左上ですよね。これは大変有名な話で、「人は左上からFの法則に乗っ取って画面を読み進める」という言葉を耳にしたことのあるWEB担当者も多いはずです。とはいえ、一番左上の隅から見始めるユーザーはいません。ここには何の情報もないことユーザーは知っているからです(そういうメンタルモデルが築かれていると言えます)。
では、実際の始点はどこになるのか。それは、下記の図に示した通りです。
このようにユーザーは、意味のある情報(求めている情報)が始まるところを始点として、Fの法則に乗っ取って画面を読み進めていくのです。
ただし、この標準的なメンタルモデルよりも優先させて、人の視線を意図的に集める方法もあります。例えば、動きのあるバナーなどが、その一例です。
人は、動くものや、人の顔(特にまっすぐこちらを見ているもの)、食べ物やセックス、危険にまつわる写真などに、自然と注目してしまうのです。これらの物に優先的に注意が向かうのは、人の生存にかかわるためです。これは、脳の外側に作られるメンタルモデルよりも、内側に備わっている本能が勝るということだと言えます。
メンタルモデルにフィットするWEBデザイン
具体的にどうすれば、ユーザーのメンタルモデルに則したサイトが作れるのか。それは、対称のターゲットユーザーが普段使っているメジャーサイトをまねることです。アパレル系ECサイトを作るのであれば、ZOZOTOWNやユニクロ、ターゲットユーザーによっては楽天市場などのUI・UXを参考にすれば、大きくユーザーのメンタルモデルから離れることはありません。
人は、効率的に物事を理解しようと、無意識レベルで「メンタルモデル」を構築しています。一度そのメンタルモデルが構築されると、認知スピードが上がり、無駄な労力を使わずに済みます。もしもそのWEBサイトが、経験に基づいて構築されたメンタルモデルに頼ることのできないサイトであれば、ユーザーにストレスを与えてしまうことになるでしょう。そのストレスも積み重なれば、間違いなくコンバージョンに影響を与えます。
対象のユーザーにとって慣れ親しんだ形を提供することが、メンタルモデルにフィットするサイト作りの第一歩です。まずは、そこからWEBデザインを考えてみてください。