紙面の情報量を示す目安に「版面率」があります。新聞のように情報量の多い紙面は、版面率が高く、逆に子供向けの絵本のように文字情報量の少ない紙面は、版面率が低くなります。
一般的に、段落と段落の間に余白が無く、一行一行にたくさんの文字が敷き詰められているページは読みにくく、また、極端に余白を作り、一行一行の文字数も少なく、アメーバブログユーザーのブログのように多くの改行が用いられているページも、読みやすいとは言えません。ですが、これら極端な例の場合でも、特定のユーザーにとっては心地よく、ストレスなく読むことができる場合があります。そのため、版面率は、誰にとって読みやすいかを考えて決めるべきなのです。
WEBサイトの版面率
WEBサイトでも、自分のサイトのターゲットユーザーに合わせてこの版面率を決めることができます。そのサイトのターゲットが、集中力があり、学びに熱心なユーザー層の場合、版面率は高めの方が良いかもしれませんし、情報収集の多くが動画形式のもので、普段テキスト情報にあまり触れていないユーザー層がターゲットの場合は、版面率は低い方が良いかもしれません。
版面率を工夫すれば、テキスト情報をスムーズに読み進めてもらえ、結果としてユーザビリティは向上します。もちろんコンテンツそのものの価値が何よりも大事ですが、それでもこの版面率も軽視すべきではないということを理解しておいていただきたいと思います。
WEBサイトにおける1ページの情報(テキスト)量
ここまでは、情報(テキスト)の見せ方について話しましたが、その情報(テキスト)の量は、何を参考に、どう決めていったらいいのか。それは、いつどこで、そのページに訪問し、どれくらいの時間閲覧していたのかという解析データが、1ページの情報量を決めるうえで参考になります。
例えば、(データの見方には工夫が必要ですが)通勤や通学の時間帯に閲覧されることが多く、ページの滞在時間が2分程度であるのであれば、版面率はやや高めで、文字情報は1000文字前後が適しているかもしれません。これは、一般的に日本人は1分間に500文字程度の情報を処理できると言われているためです。
ただ、解析データの揃わない初めのうちは、ターゲットユーザーがいつそのページに訪れ、どれくらいの言葉を使えばきちんと理解してもらえるのかを、想像して決めていくことになります。またこれは、解析データがそろってからも実は同じです。ただの数値データだけでは、実際の利用環境や、実際のページの理解度を図ることはできません。そのため、WEB担当者は、常にユーザーのことを考え、時には直接インタビューを取ったりしながら、どれくらいの情報量で、どういった言葉づかいで、どんな見せ方をすれば、より満足してもらえるのかを考え続けなければいけないのです。
100のサイトのすべてが、こうしたら必ずユーザビリティは向上する。という答えはありません。100のサイトがあれば100通りの答えがあるということを頭において、常に改善を繰り返していくことが、真の意味でユーザビリティの向上につながるのです。