従来のマーケティング手法の限界に伴い、注目されるようになったコンテンツマーケティング
従来のマーケティング手法である「売り込み型宣伝手法」がその効果を失いつつあります。「売り込み型宣伝手法」とは、テレビCMのようなマス広告や、リスティング広告、テレアポセールスなどの、消費者の注意を喚起するために行われる宣伝活動のことを広くさしている言葉です。この「売り込み型宣伝手法」は、企業やマスメディアから一方的に情報が発信され、消費者は基本的にその情報の受けるだけという構造を前提にしています。
インターネットの登場で情報の流れが変化
インターネットで情報発信が容易になった現在、消費者はGoogleやYahoo!を代表とする検索エンジンを通して、必要な情報を必要な時に入手できるようになり、さらにソーシャルメディアの浸透で、様々な情報が消費者の間で交換されるようになりました。
消費者が自分の好きな時に、好きな情報を、好きなだけ入手し、シェア(発信・交換)まで可能になったのであれば、消費者がいつでも手軽に情報を入手できるような場を企業も提供しなければならないと考えられるようになりました。そこで企業はオウンドメディア(ビジネスブログを代表する自社で運営するメディア)などのプラットフォームを用意し、そこで消費者にとって価値のあるコンテンツを提供するようになったのです。これが従来のマーケティング手法に代わる、新しいマーケティング手法「コンテンツマーケティング」です。
※コンテンツマーケティングは、単一のツールや手法を指し示す言葉ではありません。今の時代プラットフォームにビジネスブログが多く選ばれていますが、時代が変わればそれも変化します。
コンテンツマーケティングの定義について
コンテンツマーケティングの生みの親といわれているジョー・ピュリッジ氏の著書「エピック・コンテンツマーケティング」の中にコンテンツマーケティングに関する定義が記されています。
この定義の中では、特定のメディアやフォーマットについては触れられていません。つまりコンテンツマーケティングとは、ブログや動画・チラシなどの特定のメディアに縛られた手法ではないということです。またどんなコンテンツでも良いというわけではなく、「有益で説得力のあるコンテンツ」でなければならないという点もポイントとなります。
つまりコンテンツマーケティングとは「消費者と接点を持つ様々な場を通して、消費者に価値のあるコンテンツを提供し、消費者と企業とのエンゲージメント(絆)の強化を図り、消費者を収益をもたらす優良顧客に育てるマーケティング手法」であるということです。
コンテンツマーケティングの概念は古くから存在してる
コンテンツマーケティングは2000年頃から注目され始めた比較的新しいマーケティング手法ではあるのですが、その考え方自体は古くから存在していました。米国のコンテンツマーケティング協会は、最も古いコンテンツマーケティングの事例は、紀元前4200年頃に洞窟内に描かれた壁画ではないかという仮説を立てています。
紀元前4200年頃に作成されたとされる「槍で熊から身を守る6つの方法」と題されたこの壁画は、狩りに行くレッスンのために使用された可能性もありますが、槍を販売するための説明に使われたのではないかという説が有力だそうです。もしこの説が正しいとすると、この壁画はまさにコンテンツマーケティングの本質を表しているといえるでしょう。
コンテンツマーケティングを導入する企業が増えている理由とは
コンテンツマーケティングはよく恋愛に例えられます。好きな人にいきなり告白しても冷たくあしらわれる可能性が高いように、情報過多で物があふれる現代社会では、企業がいきなり商品を売りつけても、消費者は煙たがるばかりでなかなか購入してくれません。
コンテンツマーケティングは自社の商品を選んでもらうために、段階的に消費者との関係性を深め、好きになってもらうためのマーケティング施策です。好きになってもらえれば、消費者はあなたの話に耳を傾け、あなたの言葉を信頼し、喜んで商品を買ってくれるようになります。
スマホを手に取れば必要な情報をいつでも入手できる時代にある今、企業やメディアから一方的に発信される「売り込み型宣伝広告」はスルーされるようになりました。ただ物を売っていてもなかなか購入に結び付かない時代だからこそ、消費者に好きになってもらうためのマーケティング施策「コンテンツマーケティング」を導入する企業が増えているのです。