「私の文章はちゃんと伝わっているのだろうか?」「もっと効果的な書き方があるのでは?」「わかりやすく伝える方法を知りたい」など、執筆する人はこのようなことを誰もが一度は考えたことがあるかと思います。
Webサイトだけではなく、プレゼンや報告書など仕事において、言葉で誰かに何かを伝えることは欠かせません。しかし、ほとんどの方が自己流のまま執筆をしているため、少なからず何らかの不安を抱えています。
そこで、PREP(通称:プレップ)法という、人の心理をうまく利用した伝え方の型をご紹介します。この型を身につけることで、ブログ記事を最後まで読んでもらえたり、プレゼンの説得力が増したり、様々な場面で“伝え方”に自信が持てるようになるでしょう。
記憶に残る文章術PREP法とは?
まず、プレップ法の「PREP」は下記の英単語の頭文字をとった略字です。
- Point = 要点
- Reason = 理由
- Example = 事例
- Point = 要点
この「要点」→「理由」→「事例」→「要点」という構成で文章を組み立てていくことで、人に伝わる文章を作る事ができます。では、なぜこのような構成が人に何かを伝えるときに有効となるのでしょうか? この章ではPREP法が優れた構成になっている理由を各項目ごとにご説明します。
P(要点)ポイント:相手の時間への配慮がある
PREP法では、はじめに話の要点を伝えてしまいます。そのため、相手に読む時間がなかったとしても最低限、話の要点は伝えられます。あなたも誰かに話しかけられて、「結局なにが言いたいの?」と思った経験はないでしょうか? 要点をはじめに伝えてしまうことで、聞き手をモヤモヤさせる心配がなくなります。とくにWebの文章の場合は短時間で読まれることが多く、最初に要点が書かれていると読み手が理解しやすくなり満足度も高まるのです。
R(理由)のポイント:理由があるから納得してもらいやすい
話の要点を読んだ後に、人は「なぜ?」とか「根拠は?」と、その理由が気になってきます。人に何かを伝えるときに、理由がいかに重要なポイントになるかがわかる実験があります。コピー機の列に割り込みさせてもらう実験です。
その実験では、コピー機の列にあとから割り込もうと「前に入れさせてくれませんか?」と、先に並んでいた人にお願いしても全然入れさせてもらえませんが、「コピーを撮りたいので、前に入れてくれませんか?」とお願いするとほとんどの人が先にいれてくれたそうです。
このように、当たり前の理由でも人は納得してしまうのです。どんな理由でも良いというわけではありませんが、理由を入れることで納得してもらいやすくなることはこの実験で証明されています。
E(事例)のポイント:事例で理解が深まる
具体的な事例やたとえ話があると、格段に話の理解が深まります。実際に上記の「Rのポイント」でも、コピー機の実験という具体例を伝えることで理解が深まったはずです。
脳は実際に見たものと、想像したものの区別がつかないと言われています。具体的な事例をあげることで、伝えたいことを想像してもらえば、実際の場面を見ながら説明されているように、理解を深めてもらえるのです。
P(要点)のポイント:繰り返すことで記憶に残りやすい
ご覧の通りPREP法では、はじめと最後に要点を繰り返しています。これは、最初と最後は人の記憶に残りやすいという、人間の性質を利用しているためです。直接人と会う場面でも、第一印象と最後の余韻だけが強く残り、途中になにを話したかはあまり覚えてないものなのです。
このように、相手の時間を奪わずに人間の特性に沿った記憶に残りやすい文章構成がPREP法です。
PREP法の使い方
それでは、例文をもとに具体的なPREP法の使い方についてを解説していきます。
- りんごは健康にいい。(要点)
- なぜなら、リンゴポリフェノールがたっぷり含まれているからだ。(理由)
- たとえば、リンゴポリフェノールはコレステロール値を下げて血流を改善してくれる。(事例)
- よってリンゴを食べると健康にいい。(要点)
このように単純な例文で文書化すると「当たり前じゃない?」と思われるかもしれませんが、これまでに自分が書いた文章を読み返してみてください。「りんごは健康にいいから食べなよ」「りんごはポリフェノールがたっぷりらしいよ」など、理由や事例がない文章になっていないでしょうか。
PREPは必ずしもこの順番通りでなければならないというわけではありません。また、すべての要素が必要というわけでもありません。理由がない場合や、構成の順序が入れ替わってしまっても大丈夫なので、気軽にとりくみましょう。
PREP法とセットで知っておきたいTIPS
続いて、PREP法を使う上で知っておいた方がいいことを2つほどお伝えします。
はじめに伝えたいことを書き出す
型になれないうちは、PREPに当てはめながら文章を考えると言葉が出てこなくなりがちです。したがって、はじめは自分の書きやすい方法で書き、それをPREPに当てはめていくのがいいでしょう。
PREPはチェックリストのような役割にもなり、文章の足りなかったポイントも見つけるのにも役立ちます。型を意識しすぎて、執筆が遅くなってしまっては本末転倒なので、始めに伝えたいことは始めに書き出しておきましょう。
反論に対しの回答を用意する
これはPREP法を使う場合には限らないのですが、主張をするときには反論も一緒に考えましょう。意見をぶつけ合うディベートだったらいいのですが、コンテンツは一方的に発信者側と受信者側にわかれてしまいます。
文章を読むたびに「これは違うのでは?」と受信者側に思われてしまったら続きを読んでくれる可能性は低くなってしまいます。
しかし、そこに受信者側が疑問に思うことについての回答があったらどうでしょうか? 「この文章を書いている人はちゃんと理解している人だ」と感じて、あなたの意見にも耳を貸してくれることでしょう。したがって、主張をするときには反論も考慮することをオススメします。以前よりもあなたの意見が通りやすくなるはずです。
伝わる喜びを噛み締めよう
今回は、記憶に残る文章術PREP法とセットで知っておきたい2つのTIPSをお伝えしました。「伝える」というのは難しいこともありますが、ちゃんと伝わっているのを実感できたときの喜びも大きいものです。あなたの想いを届けるための一つの方法として、使っていただければと思います。